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ダスティ―Pia, 1993, Vasoldsberg

スティという名前は、私がつけたんです。始め父が家のなかにいれるのを嫌がって、庭のガレージで飼っていました。そしたらすごく埃っぽくなっちゃって、よしよしすると埃がふわぁって舞うぐらい。だから、ダスティ Dusty。おばあちゃんは、私が何度訂正しても、ずっと「ダフティ」って呼んでいたけれど。

ダスティは私が初めて飼った犬です。私はどうしても犬が飼いたくて、ずっと両親にお願いしていたんです。父が反対していたんですが、最後はしぶしぶ認めてくれて、近くの農場で生まれた子犬を引き取ることにしてくれました。ダスティは雑種です。農場で飼っていた雌の犬が、どこかで妊娠して産んだ子です。だから、お父さんは分かりません。車で農場まで迎えに行ったときのことをよく覚えています。生まれたばかりのダスティは真っ白で、お腹にひとつだけ大きな黒いぶちがありました。「この子が私のワンちゃん!」一目惚れみたいな感じでしたね。

ダスティは辛抱強くて優しい、本当にいい子でした。大きくなるにつれ頭の毛も黒くなって、ちょっとダルメシアンみたいな見た目になりました。父はきれい好きで、始めダスティを家の中にいれようとしなかったけど、そんなの無理ですよね。父はまず、玄関部屋までならいいということにしてくれた。いつのまにか次の部屋まではいいということになり、今度はキッチンまでOKになって、最後はリビングまで入れてもらえるようになりました。ダスティは賢いんですよ。前脚を伸ばして、ここからは入っちゃだめだよと言われた部屋にちょっとだけ足をいれちゃうんです。「これもダメ?」って顔をしてね。父もお手上げです。

ダスティはその後少しして、メルラッハに住む祖父母の家に引き取られました。そのころ母の体調が悪くて、犬アレルギーが疑われたからです。結局犬アレルギーじゃなかったんですけどね。


インタビュー・文:OKUJI Yukiya